【院試体験談②】生物系が数理情報系に挑んだ話:出願

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前回の研究室選びに続き、今回は院試出願の話です。解剖とプレ卒研に取り組みつつ、その裏でちまちまと出願準備や試験対策をしていきます。

 

数理情報が自身の志望とマッチしそうというのは前回の話の流れで述べましたが、具体的に必要な出願書類や入試科目などを精査しないことには出願まで踏み切れません。夏入試における他の大学院・専攻の併願可能性もこの段階で洗うべきだと考え、院試についてもう少し具体的に調べることにしました。

 

院試概要

ここからはコアとなる情報を抜粋していきます。詳細は以下の公式ページに載っていますので、興味ある方はご参照ください。基本的に院試関係については、研究科と専攻の両方の入試案内を見る必要があるかと思います。

※実施要領や日程は年度ごとに異なることが前提です。常に最新の情報をチェックしてください。

 

院試日程

2021年夏の実施日程は主に以下の通りでした。

  • 出願受付締切 6月1日〜7日
  • TOEFL受験締切 6月21日
  • レポート課題提出締切 7月28日
  • 一般教育科目(数学筆記試験)    8月5日
  • 口述試験 8月23日
  • 合格発表 9月6日

 

受験科目

情報理工学系研究科の共通科目

これらに関しては、とりあえず何かしらの参考書をやり込むという分かりやすい対策ができそうでした。ただ、英語に関しては短期で伸ばせる分も高が知れているので、余裕と計画性がある人は日頃から英語の文献を読み漁ったり英会話のできる環境を活用したりして鍛えているかもしれません。次回以降書きますが、私はこの辺も基本やっつけだったので、あまり参考にならないと思います。

 

数理情報学専攻の専門科目

コロナ禍以前は数理情報学専攻の専門科目としても数学の筆記試験があったそうですが、コロナ禍とともにそれがレポート課題に変わりました。私が受けたのはこの形式になって2年目の年だったので、幸いにも前年にどんなレポート課題が課されたのかを見ることができました。

https://www.i.u-tokyo.ac.jp/edu/course/mi/upload/2021suuri.pdf

何となく方向性としては

  • 基礎的な数理情報学的手法とその応用
  • 特定の問題に対する数理情報学的アプローチ
  • 自身のやりたい研究について

辺りが聞かれそうです。自身の研究に関しては書く内容をある程度考えつつ文献調査を行い、その他の問題に関しては実際に出題されてから*1考える他ないと判断しました。ただし後述するように、出願時の書類選考課題で書く内容と重なる部分も多く、結果的にそれをもう一回りボリュームアップする形で書くことになります。

 

口述試験では「提出されたレポート課題解答や数理情報学の専門知識に関する」ことが聞かれます。レポート絡みなら書く段階である程度勉強できることもあるでしょうが、「数理情報学の専門知識」に関しては最後までどんな対策を取るべきかはっきりしませんでした。ただ、数理情報学専攻の入試案内ページには「受験勉強の道標」という項目があり、そこに勉強の指針となるキーワード勉強の参考となる図書も親切に提示されていました。結局、範囲としては以下の分野になると思われます。

  1. 線形代数・線形計算
  2. 解析・数値解析
  3. 代数・離散数学
  4. 幾何・最適化
  5. 確率・統計
  6. アルゴリズム

このうち1・2・5は研究科共通の筆記数学とある程度ダブる範囲なので、3・4・6についてどこまで取り組むかが問題です。ここで自身のやりたい理論神経研究と照らし合わせると、3の一部であるグラフ理論や4の最適化などは特に関連性が高そうで、かつこれまでの勉学の過程では聞き齧ってきた程度です。一方で6のアルゴリズムに関しては学部で講義を受けたことがあり、プログラミング自体も中高からそこそこ慣れていました。よって6はそこそこにして、3と4を重視する方針にしました。

 

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前のページに戻る [:contents] 雑な院試対策プラン 前ページの情報を総合し、数理情報学専攻入試に対峙するプランとして大雑把に以下のような流れを想定することにしました。 時期 やること 6月第1〜2週 TOEFL対策→受験 6月第3週 解剖実習試験対策→試験 6月第4週〜7月第1週 線形代数 7月第2週 神経解剖実習試験対策→試験 7月第3〜4週 微分積分 7月第5週 レポート課題・確率統計 8月第1週 共通筆記数学過去問対策→受験 8月第2週 離散数学 8月第3週 最適化 8月第4週 口頭試問 入試対策といっても実際は学科学業のこともあるので、やはりその合間を縫った形でねじ込むことになります。正直これだけで手一杯であり、他の大学院・専攻を受験する余裕は殆どありません。唯一自身の学科の直上に当たる理学系研究科の生物科学専攻だけは入試が実質口頭試問のみだったので、最悪一夜漬けの対策でどうにかなると踏み、保険として受験することにしました*2。生物科学専攻の入試に対してそんなに労力を割くことは無かったので、これ以降の記事でもあまり触れない予定です。 正直な話「よくそんなんで受けようと思ったな」と言われても仕方ないかもしれません*3。しかしこの時の気持ちとしては「ダメ元でやってみたい、受からんくても数学の勉強にはなるし」というのが強かったので、過度に怖気付くことなく踏み切れたのだろうと思います。もちろん最初の記事で述べた「学部からその分野を専門にしていた人々と競争する必要がありそう」「入試で何を聞かれるのか詳細がいまいち分からない」という点で不安もあるにはありましたが、それ以上に勉強のチャンスとして前向きに捉えられました。 そもそも論として学部と異なる専門の院に進む意志がある人は、その分野への関心がそれなりに高いからわざわざ志望するのだと思います。その分野に挑むための必要な基礎を固めるチャンスとして捉えることは、この類の入試に挑む上での不安を軽減する一つの考え方になるかもしれません。 出願(6月1日〜7日) というわけでいざ出願です。必要だった書類は以下の通り。提出は全てウェブ経由でした。時代ですね。 入学願書 書きましょう。 成績証明書 入手しましょう。 検定料 3万円の重みは大きいですね…… 志望カード 志望研究室を順位付きで提出します。私は最終的に数理情報学専攻の中から3つに絞り込み*4、その中で順位は自然に決まりました。 書類選考課題 先述のレポート課題の簡易版的な立ち位置で、志望動機と研究テーマ、それに関連する数理的手法、その手法の数理情報学における意義、応用例をA4で2ページに納めました。docxやtexで雛形が渡されていたので、そこに具体的な内容を書き込む感じです。運良く統計力学を齧る途中で解析力学にも立ち寄っていたので、その時に学んだ変分法をベースに書くことができました。 以上で出願が終了し、院試へと本格的に進むことになります。 次回は最初の山・TOEFLについて書く予定です。   まとめページに戻る

*1:問題は出願から3週間後に公開されました。

*2:数理情報学専攻の口頭試問の2日後に生物科学専攻の口頭試問があったので、その間の1日だけ駒場生命科学の教科書を読み込むという感じでした。やっつけですね。

*3:数理情報学専攻直下の計数工学科に居た知人からも実際に言われました。

*4:絞るほど受かりやすいといった傾向は多分無いと思います。